メモ帳

恋の何歩か手前

自分の中ではギリギリセーフにしておく

妻が入院した。子供を産むために。

立ち会うことができないというのもあって、心配で胸が張り裂けそうになる。

ただ、四六時中、心配で心配で何も手につかないかと問われるとそうでもなくて、現にこうしてブログを書いている訳だし、いつも通り仕事もしてきたし、帰りにセブンイレブンに寄ってカツ丼を買っているし、なんならカツ丼だけではなくて菓子パンやチョコレートなんかもちゃっかり購入している。

そして、心配と心配の合間にもりもりとチョコレートを食べてしまっているので、本当に私は妻を心配しているのか、と疑問になってしまうのだけど、ふと、また言い知れない不安感に襲われるときがある。心配が寄せては返す。

これは、ちょっと恥ずかしいので内緒にしておきたかったんだけど、昨日の夜、床についてから、突然、極度の寂しさと不安感に襲われて涙してしまった。妻の心細さや不安感に比べれば、私のそれなんか本当にどうってことないのだと思うけど、でも、とにかく何故か感情が表出してしまった感じがした。そういうのは意識してどうこうできるものではないのだと思うので、自分の中ではギリギリセーフにしておく。なにがセーフなのか。

ただ、前述もしたけど、今日は結構普通に普通の日を過ごしている。大勢の人が通ってきた道だから、経験者から言わせると、まあ、そんなもんだよね、みたいなレベルの話なのかもしれないけれど、これが初体験の私にとっては、人生の一大イベント的な出来事なのに、普通の一日を過ごしてしまっていることにほんの少しだけ、どこかで違和感を覚えてしまう。

妻が不安や孤独、痛みと戦っている最中に、私は普通に仕事をして、セブンイレブンでカツ丼やチョコレートなんかを買って、帰宅後すぐにシャワーを浴びて、先ずはカツ丼を喰らい、そしてバリボリくちゃくちゃとチョコレートを食べている。

食べた後は、洗い物をして、流しをハイターで綺麗に掃除してからキンキンに冷えた麦茶を飲んで、本を読んで、そして今こうしてブログを書いている。

たまに妻からの近況メールが入るが、多分、もう少ししたらそんな余裕もなくなっていって、連絡も途絶えるのだろう。

私は、また明日もいつもとそんなに変わらない日常を過ごすのだろうか。

自分で自分のことを、なんとも情の薄い人間なのだろうと、思ってしまったりする。

私は、冷たい人間だ。そして狡い。自己中心的な考え方だし、時々、自分が嫌になったりする時がある。

妻が無事退院した暁には、私は今日のことを包み隠さずに話せるだろうか。

私の妻は優しいので、きっと、話したとしても笑顔で聞いてくれるのだろう。そういう想像をして、明日もやりすごそうと思う。